中小企業金融円滑化法が終了したらどうなる

中小企業金融円滑化法が2013年3月末で終了します。
中小企業が銀行に返済を軽くしてと申し入れると、銀行はできる限り貸付条件の変更等に応じるように努力することを決めた法律です。通常は元金の返済をとめて金利支払いだけになります。リーマンショックやデフレなどで悪化している中小企業の資金繰りの下支えをする法律です。この法律が来年3月で期限を迎えますので、リスケ(リスケジューリング)を受けている中行企業にとっては、4月になったら銀行から一括返済が求められるのではないかと気が気ではありません。
金融庁に問い合わせが多いためか、「中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針」について金融担当大臣の談話が発表されています。
・金融機関が、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到来後においても何ら変わりません。
とあり、2013年4月以降もリスケ状態を維持できます。ただし中小企業は金融機関に提出した経営改善計画を実行し、金融機関には定期的に進捗状況の報告をしなければならないのは借りてとして当然の義務でしょう。
・借り手(中小企業)が抱える経営課題の解決には相応の時間がかかるものです。 来年3月末までに、何らかの最終的な解決を求めるというものではありません。
精度が高い経営改善計画が必要ですが、なかなか妙案が出てくるものではないし、簡単に出てくるようなものであれば既にやっています。そうはいっても本業で儲けて資金繰りを改善していかなくてはありません。「えいや!」で作って銀行に出した経営改善計画の精度を上げていくには専門家の力を借りるのも重要です。商工会、商工会議所、各都道府県に設置された中小企業支援センターにまずは相談してみましょう。相談は無料です。
・円滑化法の期限到来後も不良債権の定義は変わりません。貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないための要件は恒久措置です。
不良債権について銀行は将来の取立不能見込額を貸倒引当金として処理しなければならず利益を圧迫します。今まで通り、不良債権としなくてよいのであれば銀行にとってはメリットです。ただし条件があり「経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合」、「5年以内(最長10年以内)に経営再建が達成される経営改善計画がある場合」は不良債権に該当しません。本当に再建できる経営改善計画を作れるかどうかがカギになります。
・銀行に対して、借り手の経営課題に応じた最適な解決策を、借り手の立場に立って提案し、十分な時間をかけて実行支援するよう促します。
・銀行に対して、こうした検査・監督の方針を、営業の第一線まで、周知徹底し、実践するよう促します。
金融担当大臣の談話にしっかり書かれていますが、支店の対応を見るとこんな方針は全然伝わっていないですね。だいたい経営改善計画の作成そのものができる行員が少なく、社長と行員や支店長の話では返済と担保の話しか出ません。借り手の経営課題に応じた最適な解決策を提案する支店なんて見たことないですね。
でもなかにはすごい銀行もあるようで、日経ビジネスの最新号を読んでいたら専門家を無料派遣する西武信用金庫の記事が出ていました。企業が抱える課題を解決できる専門家派遣の費用はすべて西武信金が負担。融資先の企業が成長すれば、新事業での融資が増えるので、そのために信金は投資すべきというのが経営方針です。これはすごい!