11月6日発表の内閣府推計によると2012年春に卒業した大学生約56万人に対して、同じ約56万人分の正社員の求人があったものの、約20万人が正社員として就職していませんでした。この万人分の求人の多くは中小企業。学生の大企業志向が中小企業への就職に結びつかないミスマッチを引き起こしています。
■中小企業は情報発信力が重要
学生の立場から考えてみましょう。大企業は会社名で検索するだけで豊富な情報が入手できます。聞いたことがない会社でもお金をかけた分かりやすいホームページやリクルート資料がでイメージしやすくなっています。採用に多額の費用がかかけられない中小企業では、情報発信力がどうしても弱くなりがち、工夫が必要です。
東大阪にある株式会社アオキでは、初めて大卒社員を採用しようとした時、青木社長が工場の2階から見ていると駅から歩いてきたスーツ姿の大学生が工場の外観を見た瞬間に回り道をしってしまいました。これじゃあ大卒はとれないと発奮し、苦労してボーイング社認定工場を取得。小さな町工場が航空機メーカーの厳しい認定工場になったと、いろいろなメディアり上げられ知名度が上がりました。今や大学院生が入社する会社になっています。
東京でウェブサイト制作を行っている株式会社LIGは社員数26名の会社です。ウェブデザイナーを募集するためブログに「伝説のウェブデザイナーを探して」というタイトルで記事を作成を増やしてほしい社員が社長を砂浜に埋めて募集を認めさせるパフォーマンスが受けて、ツイッターやFacebookなどのSNSを中心に注目を集め、多数の応募がありました。ただ面白そうな会社なのでぜひ入りたいという応募が多く、狙っていた経験者の応募が少なかったのが誤算でした。
情報発信がなかなか出来ない中小企業のために経済産業省が行っている施策が「中小企業魅力発信レポート」。作成に係る費用(企業負担)は無料で、それぞれの中小企業が持っている強みや魅力をレポートとして、求職者向けに情報発信できます。
待っているだけでは人材はきません。大学に求人票を送るだけでなく、就職担当者に会社の魅力を伝える、学生向けのチラシを用意するなどお金をかけないやり方で工夫しましょう。
■学生側も情報発信が必要
ソーシャルメディアを活用したソー活(就活)が広がっています。フェースブックに企業の求人ページが作られるのも当たり前になってきました。企業の人事担当者は応募者(学生)のタイムラインをチェック。短い面接時間だけではわからない学生の人となりを探っています。面接では大人しい印象の学生でしたがフェースブックでは書き込みに対して多くのコメントがつき、きちんとコメントにも対応しており面接と違って積極的だと評価が変わった学生もいます。
海外展開を考えている会社では、大勢の外国人と一緒に笑いながら映っているような学生の写真があればだいぶ印象が変わってくるはずです。ただし、授業を抜け出した、スピード違反したなどのネガティブな発言はご法度です。株式会社はてな、ではソーシャルメディアが登場する以前から応募学生のブログをチェックし、面接では分からない部分を採用に活用していました。今はソーシャルメディアのような便利なツールがあるので、よりやりやすくなっています。
■中小企業への就職では社長との相性が第一
福利厚生面や生涯賃金などから大企業が有利と、学生が計算する気持ちは分からんではないですが山一證券が倒産したあたりから大企業が安泰ということはなくなりました。これだけ時流れが早い中、大きさゆえになかなか変革ができない大企業ほどリスクが高くなります。シャープなど業績が悪化した家電メーカーでは中高年の希望退職募集などが始まっています中高年になってから会社の外へ出されれると寒風が吹いています。
就社ではなく就職だと就職セミナーなどでよく聞きましたが、会社に入ってしまうと、そんなことは忘れて就社になりがち。他の会社でも通用する力、エンプロイアビリティ(雇われ力身につけなくてはいけませんが、いろいろと仕事の経験ができる中小企業の方が有利な場合があります。ただ中小企業で注意しないといけないのが社長との相性。大企業であれば、な上司でも数年たてば替わっていきます。中小企業では社長が替わることはありえませんから、社長との距離も近いので社長との相性が第一。この社長だったら一緒に働いてみたいう中小企業に就職しましょう。