奈良に春の訪れを告げる「お水取り」です。
■お水取りとは
3月12日深夜に二月堂の前にある閼加井屋(あかいや)に水を汲みにいくことから「お水取り」と呼ばれるようになります。この水は若狭国から10日かけて地下を通ってやってきます。「お水取り」は修二会(しゅにえ)という不退の行法で3月1日から14日まで行われます。修二会が始まったのは大仏開眼の年である天平勝宝4年(752年)。不退の行法ですので以来、途絶えることなく続き今年は1274回目になります。
修行を行うのは11人の僧侶で練行衆と呼ばれます。以前、NHKが練行衆の修行に密着した番組を放映していましたが深夜まで五体投地などすさまじい行法をやっていました。有名な火の松明は練行衆が二月堂に登廊を登る時の道明かりです。これが江戸時代ぐらいから大きくなり練行衆を先導する童子の見せ場としてパーフォーマンスされることになります。
■スケジュール
練行衆登壇の30分前になると二月堂付近の木々などに消防ホースで大量の水が掛けられます。20分前になると修二会の解説があり、その後に英語、中国語による短めの解説があります。ハングルはないんですねえ。直前になると付近のライトが消え、真っ暗な中、鐘が響き、二月堂への長い回廊を大きな火の松明に導かれて練行衆が登廊していきます。
いよいよ童子が火の松明を振り回しますが、その前に大きな木を打ちつける音がします。内陣に入る前に練行衆が木沓にはきかえ、礼堂の床を踏みならす儀式で、これを合図にテレビでよく見る松明の行事が始まります。松明自体は20分ほどで終わりますが、練行衆は夜明け前まで修行を続けます。
帰りは観客が一斉に移動するので、なかなか大変です。南大門を通らずに横に抜ける道で奈良駅を目指すと早く帰れます。