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正倉院展へ
日中は混んでいるので、毎年、閉館1時間半前から発売するオータムレイトチケットで入館しています。入口に行列もないし、人はまあまあ入っていますが混雑ほどではないので、じっくり見るには最適です。
いつも古文書を見るのを楽しみにしているんですが、今年の目玉は「続修正正倉院古文書 第二十三巻」。中身は写経生の借銭申請書です。
写経所で働く写経生が、写経所から借金をした際の「借用書」で、月の利率は十五文で、担保まで取っていました。利率15%と、けっこう高金利ですね。担保は布が中心のようでなかには衣服もありました。他には土地、建物などで、こうなると銀行と変わりませんね。
金利は途中で十八文(18%)にあがったそうで、返さないやつが多かったんですかねえ。モビットやアイフルの金利が4.5%~18%ですので、一番信用力がない金利と同じです。借りた写経生ですが、まさか自分が書いた借用証書を1300年先に見られるとは考えなかったでしょうね。
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天平時代にもあったパワハラ
午後に仕事が終わったので正倉院展へ出かけてきました。奈良へ着いたのは夕方。
正倉院展では閉館90分前からオータムレイトチケットという割引(1000円→700円)があります。この時間帯になると並ばずに会場へ入れ、会場内も人が少ないのでゆっくり見られます。もっとも目玉である瑠璃坏(コバルトブルーのグラス)には長い行列ができていました。
今回はガラス玉とスゴロクなどの遊び道具の展示が多かったですね。白と黒の碁石も展示されていました。いつも楽しみにしている古文書が少なかったのが残念。
古文書の中に天平時代のパワハラ文章がありました。主人公は角勝麻呂という人部。写経生でしたが仕事でミスをしたようで、上司や同僚から「宴を必ず設くべし」と迫られ、親族と思われる角恵麻呂が連帯保証しています。この念書が古文書として残りました。
上司や同僚がミスを表沙汰にしない代わりに宴会を強要したようで、まさにパワハラ。本当に宴会を開いたかどうかは分かりませんが、後の古文書にも角勝麻呂が登場しますので、無事に切り抜けたようです。
先日、「平城京に暮らす」(馬場 基著・吉川弘文館)を読んでいたら、この話が出ていて現物を見られたのはラッキーでした。
「平城京に暮らす」によると、当時は役所でも酒が支給されたそうで、酒がほしいという木簡が残っています。それも「二升ばかり」や「一ニ升」とあり、二升ほしいと直接的に書かないところがいじましいですね。
また腹痛など休暇願の木簡が残っていますが、中には図太いのもいて無断欠勤がけっこうあったようです。役所が無断欠勤者のリストを作って呼び出したりしています。呼び出しがあると別の理由をつけて、また休む厚かましいヤツもいて、いつの時代も変わりませんね。
正倉院展
大学の講義を午前中に終えて、近鉄で奈良へ。
奈良駅で正倉院展の入場券(900円)をゲット。売場はいつもの近ツリではなく、近鉄の特急券売場で売っていました。奈良駅から15分ほど歩いて奈良国立博物館へ。コインロッカーに荷物と傘を預けて列へ並びます。コインロッカーは100円なんですがお金が戻ってくるのでタダ。手ぶらで見るのが一番ですので、おすすめです。
月曜でおまけに雨なのでお客さんは少ないのではと予想した通り、一般客はあまり並んでいませんでした。こら、すぐ
会場に入れそうそうだなと列に並びます、ただ予想に反して列はあまり前に進みません。
予想外だったのが団体客。読売新聞など旗をもった団体客が別の入口に大挙して並んでいました。入口では一般客をある程度通してから止めて、次に団体客を通してと入場制限しながらやっていたので、時間がかかりました。結局30分ほど並んで中へ。会場は土日ほど混雑はしていませんでしたが、中に一ケ所、すごく混雑していたのが今回の目玉である螺鈿紫檀五絃琵琶。会場内に別に入口が設けられて皆さん並んでいました。すごい人だったのでパス。もっとも
裏側からまわれば少し離れていましたが十分に見られました。
毎回、楽しみにしている古文書コーナーは最後の方にあり、皆さん最後まで来ると疲れているのでざっと見る方が多く、すいています。じっくり見ていました。今回は道鏡(弓削道鏡)自筆の古文書が3通、展示されていました。光明皇后などに比べるとヘタな字ですねえ。(笑)人のことは言えませんが 法師道鏡と署名してありました。
さて奈良国立博物館の常設展へ。すごかったのが東大寺法華堂に安置されている金剛力士立像2体が展示されていました。大きくて迫力ありますね。普段は見られない裏側まで回って見れます、これはすごい!
帰りは興福寺を通って近鉄奈良駅に向かいましたが再建工事をしている中金堂に柱が建てられていました。
校正を間違うと減俸!
大学の講義が終わり、スクールバス、JR、近鉄と乗りついで奈良駅へ。
東向商店街から坂を上って興福寺へ。ちょうどやっている「お堂で見る阿修羅」を見ようと思ったら90分待ちという表示が出てました。こりゃ無理だと、早々に退散。
奈良公園を抜けて国立博物館へ向かいます。ちょうど着いたら16:30。売店で生ビールを売っていたんですが、終わってからにしようと通り過ぎて、正面へ。閉館1時間半前からオータムレイトチケット(700円)が販売されるのでチケット売り場へ行くと、閑散としています。
チケットを買って、少しだけ列に並んだら入口へ。少しだけ混んでいましたが、よく見えました。やっぱり平日の夕方が狙い目ですね。
展示の最後の方に古文書がいつも陳列されているんですが、今回は写経の給与計算方法が出ていました。例えば校正で1行間違えると、これだけ差し引くやら、誤字何文字分を見逃したら、これだけ差し引くなど、なかなかシビアです。昔も今も大変ですね。