奈良には龍田神社が2つあります。一つは三郷町にある龍田大社で、風の神様で有名です。近くの斑鳩にも龍田社という神社があります。
龍田社は聖徳太子が寺地を探し求めていた時に、白髪の老人に化身した龍田大明神があらわれ、「斑鳩の里こそが仏法興隆の地である。私はその守護神となろう」と言われたそうです。そこで法隆寺を建立し、鎮守社として龍田大明神を祀る龍田社を創建したのが由来だそうです。
龍田社の元々の祭神は龍田比古神・龍田比女神でしたが、龍田大社から天御柱命・国御柱命が勧請され、こちらが主祭神となっています。『大和志』では、龍田大社の本宮に対して龍田新宮となっているので龍田大社の後にできたのでしょう。
■金剛流の発祥地
能の発祥は奈良で観世(結崎座)、金剛(坂戸座)、宝生(外山座)、金春(円満井座)は大和四座と呼ばれています。龍田地域には、金剛流の源流とされる「坂戸座猿楽」が古くからあり秋の祭礼には、村人たちにより猿楽や田楽が演じられてきました。そこで境内には「金剛流発祥の地」の碑が建立されています。
能は代々の政権に保護され、江戸時代には江戸城内に町人5千人が招待され、将軍とともに能を楽しむイベントがありました。この日ばかりは無礼講で、将軍が登場すると「親玉!」や「成田屋!」という声が町人からかかったそうです。