ジュンク堂といえば天井まで届くような書棚とびっしりと並べられた本の列が特徴ですが、これってサンパル方式と言うんですね。
ひょうご産業活性化センターが入居しているのが三ノ宮にあるサンパル。戦後、国際マーケットという闇市があったところを都市整備公社が再開発し1981年にサンパルを建てました。現在は人通りが多く賑やかですが、当時は三宮から少し入った裏通りということもあり、夜ともなると、周囲に怪しげな女がたつような場所。ジュンク堂工藤社長の友人が都市整備公社に勤めていて、サンパルへジュンク堂が入居してくれないかと泣きついてきました。聞けば紀伊國屋や旭屋には断られての依頼。
■サンパルに大型書店を作る
工藤社長はアムステルダムに行った時、商店街の本屋で高い棚に整然と並べられた本の列を見て、図書館みたいやなと感動したことを思い出します。西宮に1号店を出していましたが、スペースの関係上、専門書をそう置けません。客からの問い合わせに「ありません」と答えると、「じゃあ、紀伊国屋へ行くか」といって去っていくお客を悔しく思っていました。そこで専門店を充実した本屋を目指します。これがジュンク堂で初めての大型書店になります。
サンパルの3フロアに出ますので、大店法の商業調整協議会の審議を受け、書店組合と話をつけなければならなくなりました。書店組合の条件は「フロアーを20坪けずれ」で、けずったところを喫茶店にしました。ジュンク堂に喫茶コーナーが誕生したのは、こんな理由だったんですね。
■ベストセラーに頼らない書店コンセプト
ジュンク堂サンパル店は3001982年坪で3月20日に開店。定番の週刊誌が売れるだろうと置いてみたらサッパリ売れません。週刊誌は駅や通勤途中の町の本屋で買い、わざわざ三宮の奥にあるサンパルで購入しません。そこでベストセラーなどに頼らない書店コンセプトがサンパルで生まれました。仏典コーナーへ行くといったい誰が買うんだという阿含経典や南伝大蔵経などがずらっと並んでいます。
サンパル店は1991年に500坪に増床し、2001年に隣のダイエー7階へ移転。550坪に増床となり現在に続いています。そうかジュンク堂の原点はサンパルだったんですね。