網野史学(もののけ姫)

■もののけ姫
網野史学で有名な網野善彦氏の対談(昔の)が新刊文庫で出ており、冒頭に映画「もののけ姫」の話が出てきます。

山

網野先生が神奈川大学で教えていると、普段は見かけない茶髪の兄ちゃんが真面目に講義を聞いています。どうしたのかと思ったら映画「もののけ姫」のパンフレットに網野先生の談話が載った影響でした。いろいろな若者に聞くと映画を一回見ただけでは理解できず2度3度、見た人が多く、記録的なヒットに結び付いた原因の一つになったようです。

映画の冒頭には蝦夷の里で暮らすアシタカが出できますが、まず蝦夷がよく分からないようです。タタラ(都市)の他はマタギなどの山の民ばかりで山のアジールの世界が描かれ、まさに網野史学を具現化した映画でした。また体に布を巻いた人たちが出てきて石火矢を作っていましたがハンセン病に罹った被差別民ということも理解できないようです。

■水呑み百姓
網野史学とは歴史の中で語られてこなかった人々に焦点をあてたもので、「江口の君」のような遊女など女性についてもいろいろと研究しています。戦国時代、ルイス・フロイスがヨーロッパと違い夫婦の財布は別になっていて時には夫に高利で貸しているのに驚いていますが、昔の女性の地位は今とは全然、違っていました。

明治以降の歴史教育で「百姓=農民」にしてしまったために、米を中心に見る世界になってしまいます。水呑み百姓とは本来は米作り以外の収入が主な人を指しますが、貧民のイメージがついてしまいました。輪島の時国家のように船で交易していた豪農も分類は水呑み百姓という、とんでもないことになり歴史教育に影響を与えてしまいましたね。

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