ニューホライズンズ プレイステーションと同じCPUで冥王星へ

宇宙
冥王星は惑星じゃなかった
「すいきんちかもくどってんかいめい(水金地火木土天海冥)」と覚えた冥王星。太陽系第9惑星と学校で習いましたが、2006年8月に冥王星は惑星じゃなく準惑星に分類されてしまいました。「美少女戦士セーラームーン」ではセーラープルートが出ていましたが、まさか冥王星が準惑星になるとは原作者も思っていなかったでしょう。
まだ冥王星が惑星だと信じられていた2006年1月、冥王星を目指してNASAが打ち上げたのが探査機「ニュー・ホライズンズ」。人類初の太陽系外縁天体の探査を行う探査機です。発射後9時間で月軌道を通過し、13ヵ月後に木星をスイングバイ(木星の引力を利用して探査機を加速)しました。
ニュー・ホライズンズは太陽からどんどん離れていきますので、太陽電池は使えません。代わりに原子力電池を搭載しています。ミッション用機器の他には1930年に冥王星を発見したクライド・トンボーの遺灰が搭載されています。
冥王星に近づき探査を開始
打ち上げ以来、9年間をかけて冥王星に近づき、2015年に入り、いよいよ観測を開始しました。太陽から約56億kmも離れていますので冥王星軌道からの通信速度はたったの800bpsほど。パソコン通信時代によく使われていたモデムが2400bpsでしたので、それよりも遅い通信速度です。
ニュー・ホライズンズには8GBのフラッシュメモリが搭載されていますので、まずフラッシュメモリに探査データを蓄積して、数ヶ月かけて地球へ送り届けます。
2015年6月初旬から冥王星の本格的観測に入り、予定では7月14日に冥王星を最接近します。冥王星の衛星であるカロンの公転軌道内側を通りますので、冥王星とカロンの近接写真を撮影するのがミッションになっています。8月ぐらいに冥王星探査を終了し、データを地球へ送ります。
初代プレイステーションと同じCPUが搭載されている
ニュー・ホライズンズには「マングース-V」というマイクロプロセッサが搭載されていますが、これはMIPS社のR3000という32bitマイクロプロセッサの放射線対応版。R3000はいろいろなコンピュータで使われ、ソニーでは初代プレイステーションとプレイステーション2に採用されています。映画「ジュラッシクパーク」を作るのに使われたシリコングラフィックス社のIndigoにも採用されています。
過酷な宇宙空間を行く探査機に搭載するので要求されるのは信頼性。高性能なマイクロプロセッサもありますが、肝心な時にトラブルを起こしてもらったら困りますので、R3000が選ばれたのでしょう。例えば、アポロ11号の月着陸で使われたコンピュータは高機能電卓やファミコンよりも処理能力が劣りました。
冥王星探査を終えた後、ニュー・ホライズンズは2020年頃、彗星の故郷といわれるエッジワース・カイパーベルトを観測し、その後は太陽系を脱出していきます。

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