2020年、今年の抱負を一言であらわすと何ですか?
家内安全!金儲け!世界征服!一言の願いであれば、なんでも聞き届ける神様が葛城にあります。それが一言主神を祀る一言主神社です。
■一言主神
一言主神は日本書紀、古事記に登場する神様です。大王である雄略が葛城山中で狩猟をしていた時、大王自身や随行一行と全く同じ恰好をした一行が向かいの尾根を歩いています。雄略が名を尋ねると「吾は悪事も一言、善事も一言、言い離つ神。葛城の一言主の大神なり」と答えます。恐れ入った大王は、自分と随行している者の衣服を脱がさせて無礼を詫び、刀や弓矢とともに差し上げたという話が出ています。この一言主神が現れた場所に造られたのが一言主神社ですので相当に古い神社です。
■雄略(倭王武)の時代
大王である雄略は宋書に出てくる倭王武に比定されていて、かなりのやり手でした。大王による強力な専制支配を確立しようとし、大王家の外戚として権勢を振るってきた葛城氏を没落させています。国宝である稲荷山古墳出土鉄剣(埼玉)に獲加多支鹵大王と雄略の名前が記載され熊本の鉄剣からも同じように見つかっていますので雄略の時代には関東から九州にかけて大和朝廷の覇権が成立していたようです。
雄略は葛城氏の勢力圏で狩猟して一言主神に会っていますので、この頃には葛城を直接の支配下においていたのでしょう。葛城氏が信仰していたのが豊受大神で、葛城氏が没落してから衰退していましたが、訴えがあったのか丹後の豊受大神を移して伊勢神宮・外宮が雄略の時代に造られました。