昨日、大阪産業創造館で知的生産の技術研究会・関西セミナーを開催。
講師は作家 奥野 宣之氏で、新作である『現代語訳・学問のすすめ』を題材に話をしてもらいました。
「学問のすすめ」は慶応大学を作った福沢諭吉が明治5年に書いた本ですが140年前に書いた本とは思えず、現在と同じような問題が書かれていて140年間、あんまり変わらなかったんですね。
福沢諭吉の「学問のすすめ」が発売されたのは1872年(明治5年)。江戸から明治になったばかりで当時の人口は3500万人ほど、「学問のすすめ」は22万部売れました。160人に1人が読んだ大ベストセラーでした。
■赤穂浪士批判
「学問のすすめ」という題名ながら学問よりも嫁・姑問題やら上司とのつきあい方など多彩な話題が書かれています。出版当時、問題になってたたかれたのが赤穂浪士の批判。吉良邸への討ち入りは私刑であって法を破っている。幕府の片手落ち裁判を問題とするのなら最後まで裁判で争うべきで、私刑でやってしまったら国が成り立たないという論調です。おかしいものはおかしいと批判ですが、福沢諭吉は世間からはだいぶたたかれたようです。
■現在と変わらない世相
140年も前に書かれた内容とは思えない部分がたくさん出てきます。「政府とは優秀な人物をたくさん集めて、一人の愚か者がやるようなことをする所」と定義されています。個々は東大出など優秀ですが集団化すると愚者となります。現在の膨大な国の借金を積み上げてきた政府をみているとまったくその通り。
また「愚民の上には圧政があれば、良民の上には善政がある」という言葉があり、政府批判をしても結局は「この国民あっての、この政治」。つまるところ国民が悪いと指摘しています。
「いまの学者はインプットばかりでアウトプットできないものが多い」という言葉は昔も今も変わりませんね。
また心事(自己評価)と働き(相対評価)のバランスが大切とも書いてあります。例えば自己評価が肥大になると「時代が悪い」と自分のせいではなく世の中のせいにし始めます。
生活保護の問題についても書かれていて五升の米を与えると三升を酒に変えてしまう者がいると指摘があり、現在の不正受給問題ですねえ。
会場に本を持ち込んでいただきましたが、早々と完売
セミナーの様子です。
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