ポーの一族

ポーの一族
先日、コミック誌では珍しく重版出来(じゅうはんしゅったい)となった掲載誌(月刊フラワーズ7月号)を奥さんが買ってきました。書店で「最後の一冊です」とアナウンスしていたので思わず買ったそうです。なんせ新作が出るのは40年ぶりですからねえ。そういや「ガラスの仮面」はどうなったんだろう(笑)。
■固定相場制と変動相場制
「ポーの一族」が連載されていたのが1972年~1976年。前年の1971年にはニクソンショックが起きます。日本は1ドル360円の固定相場制から、やむなく現在のような変動相場制に移行します。もっとも江戸時代には金、銀、銭の3つの貨幣が混在し、変動相場制でしたので両替商が発達しました。ところが明治政府が円に統一してしまったため、「あさが来た」の山王寺屋のように両替商は存在意義がなくなり没落していきます。
明治政府が円に統一したのが1871年(明治5年)なのでニクソンショックがあった1971年までの100年間が固定相場制の時代になります。両替商は室町時代には登場していますから、日本は変動相場制の方が長い国になります。現在のように通貨価値が刻々と変る状況がふつうでした。
■海外旅行が珍しかった時代
「ポーの一族」連載が始まった1972年といえば、まだまだ海外旅行が珍しい時代です。ヨーロッパを舞台に描かれていたため、読者にヨーロッパとは、こんな感じなんだとイメージが浸透していきます。なんせ、海外渡航制限が解除され日本人が自由に海外旅行ができるようになってから8年しか経っていません。バックパッカーのバイブルである「地球の歩き方」の創刊は1979年です。
就職前の1982年、「地球の歩き方」を片手にバックパックを背負ってヨーロッパをまわっていた時、パリ北駅の両替で「日本の銀行が発行したトラベラーズチェックは扱えません」という張り紙を見た時は”日本の力はまだまだなんだなあ”と思ったのを記憶しています。当時のパリはゴミが多く、「ポーの一族」のヨーロッパとは全然、違っていました。

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