人工知能研究などをしているIBMワトソン研究所には「そろばん」を収めたガラスの箱があり、傍らにはハンマーが置いてあります。しかも「何もかもダメになったら、ガラスを割れ」とのメッセージがついています。
コンピューターのご先祖は「そろばん」ということです。「そろばん」は室町時代、日本に伝わり算盤の中国語読み「すわんぱん」が変化して「そろばん」になったと言われています。最近の学生は「そろばん」なんて見たことないでしょうね。
■前田利家の「そろばん」
近年、さらに古いそろばんが見つかりましたが、少し前まで前田利家の使っていた「そろばん」が日本最古でした。前田利家は倹約家として知られ戦場にまで持参しています。昔も今も数字が分からないと戦えません。
小牧・長久手の戦いでは敵に前田利家方の末森城(「麒麟がくる」で信長のお父さんが亡くなった城)が包囲されます。この時、兵士がなかなか揃わず悩んでいた利家に妻のまつが金銀の入った袋を投げ出し、「金銀を蓄えるより、このお金で家臣を多く雇えとあれほど言ったのに。そろばんばかりはじいてるからこんな目になるんです。この金銀に槍でも持たせて戦いに行けば」と皮肉たっぷりに言い放った逸話が残っています。
■播州そろばん
「そろばん」の産地は兵庫県小野市です。昔の播磨国で、秀吉の三木城攻め(三木の干殺しで有名な兵糧攻め)から住民が近江に逃れます。逃れた先が大津そろばんの産地で、ここで技術を覚え、播州そろばんが生まれます。